2019年6月1日(土)に行われた明治安田生命J1リーグ 第14節
FC東京vs大分トリニータの試合
結果からお伝えすると、この試合を見事3−1で勝利しリーグ首位をキープしています。
前節、アウェーの地で戦ったセレッソ大阪戦で今期初の黒星を喫していただけに
非常に重要な1戦となりましたが、見事に勝利を収めました。
さあ、それでは早速この試合の久保建英選手の活躍を観ていきましょう。
タイトル通り2得点という大活躍でしたが、得点以外にも多くの見どころが
ありました。
まずは1点目のシーンです。
※該当シーンから再生されます。
前半39分。
大分の選手がボールを持って攻撃へ転じようとしていたまさにその瞬間、
1点を決めた橋本選手のスライディングをきっかけにロストしたボールを
久保選手が奪い、ショートカウンターとなります。
そこからドリブルでペナルティーエリア内までボールを運ぶ久保建英選手。
ペナルティーエリアへ侵入する前の時点で、すでに5人の大分の選手が構えており
大分が数的優位を保っているという意味では大分にとっては決して最悪の状況
ではありませんでした。
しかし、久保選手の特徴を知っていればこそ、不用意に懐に飛び込むことは出来ません。
久保選手はテクニカルなフェイントで相手を抜き去るというよりは、相手が重心を移動
するギリギリまで自分の次のアクションを「待つ」ことで相手の逆を行ったり、
相手をよく観察して、相手の足が届かないギリギリにボールを運ぶのが非常に得意です。
しかもそのプレーをトップスピードで行うため、なかなか飛び込めないのです。
そして、そのままペナルティーエリアへ侵入し、シュートを放ちます。
放ったシュートは相手DFの足に当たり、少しコースが変わりますが
そのままゴールへ吸い込まれていきました。
さて、次のプレーは得点シーンではありませんが、久保建英選手が決定機を
演出した素晴らしいシーンです。
※該当シーンから再生されます。
後半54分のプレーでした。
6月のA代表へ久保選手と同様に選出された右SBの室屋選手がドリブルで右サイドを
駆け上がり、後ろを振り向き久保選手がフォローにきているかどうかを確認。
相手DFを十分に自分へと引きつけて、久保建英選手へボールを渡しました。
相手DFへ近づき、2,3回ボールをまたいで抜きにかかります。
しかし、相手の重心がずれることはなく、このタイミングで抜き去ることを諦め、
ターンします。
おそらく大分DFはそのまま、エンドライン際までドリブルしてクロスを上げることを
想定していたのでしょう。久保建英選手のトップスピードのドリブルにしっかりと
ついていきます。
しっかりと相手を引きつけた上で、ほぼノーモーションでクライフターンを繰り出し
完全に相手DFを置き去りにしました。
別角度でも観てみましょう。
このあとは動画にある通り、クロスを上げて高萩選手のシュートへつなげる
決定機を演出しました。
最後は、試合終了間際ロスタイム中のプレーです。
※該当シーンから再生されます。
後半91分、1点差を追いかける大分ボールとなるスローインがキッカケとなりました。
大分の片野坂監督がサイドラインを割ったボールを大分の選手へ渡します。
注目なのは、試合終了間際のこのタイミングで相手スローインにいち早く反応している
久保建英選手の動き出しです。
片野坂監督がボールを渡した時点ですでにマークを探し始めています。
そして一番近くの選手ではなく、最終ラインの選手へとスローインのボールが
投げられた瞬間に、プレッシャーを掛けに行きます。
久保建英選手のプレッシャーもあり、パスをミスしてしまったその瞬間を
久保建英選手は見逃しませんでした。
そのままDFとGKの間に転がったボールを追いかけ、
上がっていた相手GKをそのままかわして、最後はゴールにボールを流し込みました。
・速いリスタートのために味方選手にボールを渡した片野坂監督
・チームコンセプト通りに、DFのパス回しをフォローするために上がり目の
ポジションをとっていたGK
そこにパスミスという要素が、久保建英選手のプレッシャーによって生まれ、
3点目へと繋がりました。
試合終了のホイッスルがなるまで集中を切らすことなく、貪欲にプレーしていた
からこそ生まれたこの得点は、久保建英選手のスキル・テクニックではなく
「貪欲さ」という新たな武器を感じさせてくれるものでした。
6月4日から始まるキリンカップとその後のコパ・アメリカに向けて
弾みをつける最高の試合となりました。
代表戦での活躍を期待しましょう!